昔、掲示板を通じて知り合った年上の男性と過ごした、あのあまりにも非日常的な一夜のことが、今も記憶の底に強く焼きついて離れない。
当時の私は36歳。相手は50代半ばの男性だった。場所は札幌市豊平区にある、ごく普通のアパートの一室。 普段なら気に留めることもないような男性同士の交流掲示板で、ふと目にした投稿がすべての始まりだった。
『ノンケで男に攻められてみたい人はいないか。少しハードだが、一度味わったら忘れられない世界を教える』
その言葉にどこか背徳的な好奇心を刺激され、抑えきれない衝動のままに返信を出してしまった。指定された住所へと向かい、古いアパートの呼び鈴を押す。重いドアが開くと、そこに立っていた男性はすでに一切の衣類を身につけておらず、荒々しく昂ぶらせた体を剥き出しにしていた。あまりの光景に立ちすくむ私に、彼は低い声で「入りなさい」とだけ告げた。
恐怖と好奇心が入り混じる中、言われるがままに部屋の中へ足を踏み入れる。温かいコーヒーを出されたものの、身体の震えを誤魔化すように煙草に火をつけた。漂う煙の向こうで、他愛もない会話が始まる。
「男性との経験は?」 「本当は、こういう風にいじめられるのが好きなんだろう?」
彼の鋭い視線に見つめられながら煙草を吸い終えると、1枚のバスタオルを渡され「シャワーを浴びておいで」と促された。身体を清め、濡れた肌にタオルを巻きつけてリビングへ戻り、ソファーの端に身を縮めて座る。
「そんなに身構えなくてもいい。たっぷり可愛がってあげるから」
背後に回った彼の手が、滑るように私の肩から胸元へと伸びてきた。タオルを外すよう指示されたが、すでに私の体は予期せぬ緊張と興奮で昂ぶりを隠せない状態になっていた。もじもじと躊躇していると、彼は「もうこんなに熱くなっているじゃないか」と掠れた声で笑い、強引にタオルを剥ぎ取った。
「ベッドへ行きなさい」
命じられるまま静かに横たわると、視界を奪うように黒いアイマスクを装着された。暗闇の中で、五感が異常なほど研ぎ澄まされていく。首筋から胸元、脇腹、そして太ももの内側へと、相手の生温かい吐息と舌が這い回る。しかし、一番求めている中心部分には決して触れようとしない。生殺しの愛撫に翻弄され、喉から小さな吐息が漏れ始めた頃、彼の手が私のみぞおちあたりを押さえた。
「先からずいぶん蜜が溢れているよ」
耳元で囁かれ、そのまま先端を包み込むような深い刺激が与えられた。あまりの快感に「出そうです」と声を漏らすと、「まだ駄目だ」と冷たく制せられる。手首をベッドのフレームに固く固定され、身動きすら取れない状態に置かれた。そのまま彼の硬く昂ぶった存在を受け入れることを強要され、私は指示されるまま必死に舌を動かした。
やがて彼が離れると、何かが用意される気配がした。ひんやりとしたローションが皮膚を伝い、お尻の奥へと指が一本、二本と侵入してくる。
「今からバイブを入れる。痛くしないから力を抜きなさい」
滑り込んできた硬い異物感に身をよじり、思わず「痛いです」と訴えたが、彼は「最初だけだ、もう奥まで入ったぞ」と囁くだけだった。
やがて痛みは引いたものの、体内に残る強い違和感に息を呑む。 「力を抜け。身体を預ければ、すぐに別の感覚が来る」
彼がスイッチを入れた瞬間、低い振動が身体の芯を直接揺らし始めた。視界が遮られている分、粘膜に伝わる刺激が脳を直接揺さぶる。不快感だと思っていた異物感は、瞬く間に身体を痺れさせるような濃密な波へと変わっていった。
「くっ……あ……」
口から漏れた声を聞き、彼は満足そうに笑った。太ももを撫でていた彼の手がゆっくりと持ち上がり、極限まで張り詰めた私の前を握りしめる。先端から溢れ出る蜜を擦り込みながら、丹念に刺激を加えてくる。奥で蠢く強い振動と、手で与えられる繊細な責め苦の挟み撃ちに、私の腰は自然と跳ね上がった。
手首を縛られているため、逃げることも、己の衝動を抑え込むこともできない。男の思い通りの体勢で、なすがままに波へと飲まれていく。
「出して……お願いだから、出させてください……」
情けない懇願の声が口をついて出た。先ほどまでの緊張や抵抗感はどこかへ吹き飛び、ただこの解放感を追い求める一心だった。
「だめだ。まだ許さない」
彼は冷ややかに言い放つと、前を握る手をぴたりと止め、振動をさらに強めた。奥の最も敏感な部分を直撃され、背筋に電撃が走る。引き延ばされるおあずけの焦燥感と、容赦のない刺激。頭の中が真っ白になり、意識がその一点だけに集中していく。
限界を迎えた瞬間、身体が激しく跳ね上がり、信じられないほどの解放感が全身を駆け抜けた。
事切れそうな息を吐き出しながら横たわる私に、彼はお尻の奥の異物を静かに抜き去り、耳元で低く囁いた。
「またおいで。今度は、俺のものを直接入れてやるからな」


